品川区内では幅広いジャンルの文化芸術団体が、区民や全国各地、さらには世界に向けてさまざまな活動に取り組んでいます。
今回は聞こえる人も聞こえない人も、ともに参加してより高い水準のろう者の演劇文化を創造することを目指して活動している、「社会福祉法人トット基金日本ろう者劇団」をご紹介します。
令和6(2024)年5月11日号特集記事
社会福祉法人トット基金 日本ろう者劇団
■社会福祉法人トット基金 概要-------------------------------------
社会福祉法人トット基金は、黒柳徹子著「窓際のトットちゃん」の著作権を受領し昭和56年(1981年)に設立された社会福祉法人です。
社会福祉活動に加えて、聞こえる人も聞こえない人も、ともに参加してより高い水準のろう者の文化を創造し、享受することを設立の趣旨としています。
現在トット基金では、「トット文化館(就労継続支援B型)」と「日本ろう者劇団」、そして劇団活動のひとつとして「手話教室」を行っています。
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~聞こえる人も聞こえない人も楽しめる 多彩なレパートリーを持つプロ劇団~
日本ろう者劇団は、昭和55年(1980年)演劇の好きな仲間が集まり、故米内山明宏氏(品川区八潮「明晴学園」元理事長)を代表に、「東京ろう演劇サークル」として発足しました。障害の有無にかかわらず誰もが楽しめるもの、そして視覚的なことに重点をおく演劇作りを目指して活動を開始。現在は、手話狂言、創作劇、ムーブメントシアター、サインマイム等劇団独自のレパートリーを持って全国各地を公演しています。
日本ろう者劇団は、“見る言葉”である手話の表現力を活かした演劇の素晴らしさをより多くの人に伝えながら、日本を代表するろう者の劇団として活動の場を広げています。
~日本各地・世界に広がる 手話狂言を確立~
「手話狂言」とは、トット基金理事長黒柳徹子氏の発案により、劇団が和泉流狂言師の三宅右近氏と共に、狂言特有の動き運びをそのままに、手話表現の研究を重ねて誕生しました。
手話のセリフと声のタイミングや間の取り方にも工夫を重ね、古典芸能の強靭さと手話の豊かな表現を兼ね備えています。
「手話狂言」は、文化庁芸術祭、能楽会で由緒ある「催花賞」など数々の栄誉に輝き、日本各地はもちろんのこと、世界各国で公演を重ねています。今年のオリンピック・パラリンピックに時期を合わせて、パリ公演が予定されています。
<これまでの主な活動と受賞歴>
・1983 伊・パレルモで開催された世界ろう者会議・演劇祭典に参加し、手話狂言を披露。
・1987 第8回松尾演劇賞演劇特別賞受賞 「手話狂言」
昭和62年度文化庁芸術祭賞受賞 「手話狂言」
・1988 ハワイ手話狂言公演
・1990 第3回池袋演劇祭参加 アゼリア賞受賞 「カスパー伝説」
・1998 国際交流基金の助成を受け、ロシア・ドイツ・ハンガリー手話狂言公演
・2004 オリンピック開催を記念して行われた「ギリシャにおける日本文化年2004」に参加し、アテネ手話狂言公演。
・2013 仏クランドイユ芸術祭に名誉招待国として招かれ手話狂言披露。あわせてロンドン公演を行う。
・2015 ローマ・パリ手話狂言公演
・2022 2021年度第31回催花賞 三宅右近氏と日本ろう者劇団 受賞
2024年の活動予定
<日本ろう者劇団欧州公演2024>
①Festival Clin d'Oeil(フェスティバル・クラン・ドイユ)参加公演
日時:2024年7月4日(木)
場所:仏国ランス市(Reims)
*Festival Clin d'Oeilは、2年に一度開催される欧州を代表するろう者の芸術祭。
②パリ日本文化会館共催公演
日時:2024年7月6日(土)
場所:パリ日本文化会館(Maison de la Culture du Japon a Paris)大ホール
*5日には同小ホールで手話狂言ワークショップ及び日仏ろう者のトークセッションを実施します。
フランスで生まれ、2025年に100年目を迎えるデフリンピックについて、日仏ろう者の意見交換を行います。
<日本国内公演情報>
①第44回手話狂言 初春の会
日時:2025年1月22日(水)・ 25日(土)
場所:国立能楽堂
【予定演目】棒縛り、瓜盗人、髭櫓
②手話能
日時:2025年3月中旬
場所:喜多能楽堂(品川区上大崎)
【予定演目】 未定
日本ろう者劇団顧問 井崎 哲也(いざきてつや)さんに聞きました
●どうして入団しようと思ったのですか?
子供の頃、人々を喜ばさせ、楽しませるのが好きでした。今も観客を楽しませたい思いを変わらず持ち続けています。
●手話劇のどこに魅力を感じますか?
長い年月をかけて積み重ねられた洗練された舞台、技術や演技力などの狂言のおもしろさに、手話の表現力を加えたものが手話狂言の素晴らしさです。
●目標や夢について教えてください。
初めの頃は、ろう者による演劇が存在しなかったため、私たちが懸命に活動・普及してきました。TV・映画のドラマや演劇の舞台で活躍できる環境を作るのが夢でした。
その機会が倍加したいま、ろうの子供たちがそのような夢を持ち続け、ろう者が演劇を仕事として食べていける環境を作りたいと思っています。
また、トット手話教室で講師もしています。楽しく手話を学んでみませんか。
トット手話教室 <随時見学・体験受講可>
【スケジュール】
中下級(月曜クラス) 対象:手話経験1年~2年
初 級(火曜クラス) 対象:手話経験1年未満
中上級(木曜クラス) 対象:手話経験2年~3年
上 級(金曜クラス) 対象:手話経験3年以上
日本ろう者劇団の俳優が講師をつとめ、手話を楽しく学ぶ教室をトット文化館を会場に開催しています。
初級から上級までのクラスがあり、経験を問わずどなたでも参加いただけます。
手話狂言公演チケットプレゼント 抽選で5組(2人1組)
デフリンピック慶祝公演
【日時】 2024年11月26日(火)14:00開演予定
【会場】 きゅりあん小ホール
【予定演目】附子(ぶす)、六地蔵
===読者の皆様をご招待いたします。===
【対象】品川区在住・在勤・在学の小学生以上(小学生は保護者同伴)
【申込】申込フォームまたはFAX(03-5479-4160)
氏名(同伴者含む)、電話またはFAX番号、メールアドレス(あれば)をご記入の上お申込みください。
【締切】2024年7月31日(水)
※8月上旬に当選者にのみ結果をお知らせいたします。
※一般発売は8月中旬を予定しています。