企画展

企画展

1993年1月29日(金) 〜 1993年2月23日(火)

ART IN JAPANESQUE 現代の「日本画」と「日本画」的イメージ

全室

  • 終了

1993年1月29日(金)~2月23日(火)
10時~18時30分 木曜休館

一般500(400)円
高・大生300(200)円
小・中生100円(50)円 ※( )内は20名以上の団体料金

日本画に代表される伝統的な美が今日どのように存在しているのかを、イメージ・形式(屏風等)・材質(顔料)の観点から展示し、それら「日本画」的イメージの現代における独特の在り方について考えました。

概要

現代の日本においては、「日本的」なるものとは、どのように生きているのでしょうか。
これまでの伝統的な生活というもの自体が、たとえば家に神棚がなくなり、習俗も消えかけているように、戦後の展開の中で、明らかに大きく変容しています。
また同時に、我々にとって「日本的」なるものの伝統的イメージも、大きく美意識を規定するものではなくなっているのではないでしょうか。

今日の若い世代の表現においては、伝統的イメージというものが、「国際化」の果ての欧米の圧倒的な影響の下で、相対化を余儀無くされているのです。
我々には、伝統的イメージとは、決定的な拘束力を持った、切実なものではありません。
しかし、一方ではむしろ一種エキゾチックな気分も入りまじり、懐かしささえ感じさせるものなのです。

このように、我々は「日本的」なるものに対して、断絶と継承という、ある特有の距離の下で生きていると言っていいでしょう。

ここでは、このような中で「日本画」に代表される伝統的な美が今日どのように存在しているのかを、イメージ・形式(屏風等)・材質(顔料)の観点から、広くジャンルを越えて考えてみようとするものです。

一方ではC・G等の手法も含めた、グラフィック・デザインやアニメーション、そして立体などの分野における「日本画」的イメージを紹介するとともに、現代の「日本画」の最も若い世代に見られる、これまでにない新しい様々のイメージ・手法の試みを点検しようとするものです。

すでに60年代においても、横尾忠則、藤原有司男らは、いわばシャパニーズ・ポップとして浮世絵等の大衆的伝統絵画から多くのイメージを取材し、また伝統的な描線や様式を新たな表現において用いました。

その後現在まで、いわゆる「日本画」の多くは、伝統的な花鳥風月のモチーフを固定的なイメージとして受け入れ、制作されています。そこではあたかも「日本的美」のシミュレーションとでもいうべき作品の大量生産と大量消費が見られます。
しかし、その中でも近年の若い世代には、積極的にアニミズム的な心性を打ち出したり、顔料表現への新たな見直しをはかる、いわばこれまでの文脈とはやや異なる伝統への距離の持ち方を前提とした表現の試みが見出せます。  

また一方、「日本画」の傍らで、いわゆる現代美術や、C・G、イラストレーションなどの他の分野においては、「日本的美」の典型が新たなかたちで再び現れています。そのような周辺の領域においては、時に国際的な場で安易に自らのアイデンティティを示すものもありますが、他方、「日本的美」の独特の距離感をむしろ武器にした表現や伝統的な様式などに新たな造形上の展開のヒントを見出そうとする作品も見ることができます。

本展では、日本画、C・G、イラストと広く展示し、それら「日本画」的イメージの現代における独特の在り方につき考えてみようとする試みです。

関連企画

■講演会
日時 2月6日(土)14時~16時
講師 北沢憲昭(美術評論家)

■シンポジウム
日時 2月20日(土)14時~16時
講師 奥村靫正・柏木博・寺門孝之

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