企画展

企画展

1998年11月20日(金) 〜 1998年12月23日(水)

「曖昧なる境界—影像としてのアート」展

全室

  • 終了

1998年11月20日(金)—12月23日(水・祝)
10時~18時30分 木曜休館

一般500(400)円
高・大生300(200)円
小・中生100円(50)円 ※( )内は20名以上の団体料金

カメラのピンボケやブレを逆に利用した映像を用いた絵画作品、上映後に存在の痕跡を示すように茫洋と光を放つ蓄光塗料の塗られたスクリーン、箱の中を覗くと現実の物が重なりダブルイメージ的に見える作品など、現代の絵画・写真・インスタレーションには曖昧な影像的な表現とも言うべき作品が目立ってきています。本展では、8名の作家の展示を通し、現代の美術作品の一つの動向に注目しようとする試みです。

概要

コンピュータ・グラフィックスを始めとした、現代の我々を取り囲むデジタル的な映像は、ますます高度にリアルなものになろうとしています。その様な精緻を極める仮想世界に対して、現実のモノの物質感は逆に薄らぎ、時にむしろ浮遊したもののように感じられます。そのように様々のイリュージョンとともに暮らし、そのままにしては我々はすでに現実そのものに切実なリアリティをもって向き合えなくなっているなかで、作家はあらためて視覚じたいを問おうとしています。  

近年、現代の絵画・写真・インスタレーション等に曖昧な影像的な表現とも言うべき作品が目立ってきています。カメラのピンボケやブレを逆に利用した映像を用いた絵画作品や、映像的な動的シーンを想起させる不明瞭な絵。または上映後に存在の痕跡を示すように茫洋と光を放つ蓄光塗料の塗られたスクリーン。さらには箱の中を覗くと現実の物が重なりダブルイメージ的に見える作品など。ここに展観される多様な作品は、いずれも流動的で曖昧なイメージを見せながらも、鮮烈な印象をわれわれに与えてくれます。  

現実と非現実の境界で漂う、曖昧で透明な映像が映るそれらの作品は微細に我々の感覚に働きかけ、知覚の揺れを我々に与えるものとなっています。カメラアイを通して、または何らかの装置を通して覗き、現実の物を素材にしながらも、むしろわれわれの見知った世界は解体し、いわばもう一つの世界をかいま見せるものです。それは光、あるいは時の深い意味を考えることでもあり、その中で世界はあらためて初々しいものとして我々の前に立ち現れてきます。そのような出現的な作品は、感覚の確からしさよりは、曖昧でしかも透明なビジョンを示し、われわれはその刹那的な現実の影の中にこそ、逆に切実なリアリティを感じるのです。  

この展観は、8名の作家の絵画を始めとして、インスタレーションも含めた多彩な立体的な展示を通して、そのような映像の一般化した現代の状況の中で、影像的に生きようとすることで、感覚の覚醒をうながそうとする、現代の美術作品の一つの動向に注目しようとする試みです。

出品作家

秋岡美帆(写真を元にした画像)
市川美幸(写真)
伊庭靖子(絵画)
小河朋司(インスタレーション・箱)
小山穂太郎(フィルム等によるインスタレーション)
徳永雅之(絵画)
中野西敏弘(フィルム等によるインスタレーション)
森田多恵(インスタレーション・箱)

関連企画

■シンポジウム
「現代における“映像”表現について」
日時 1998年12月12日(土)13時~16時
会場 日精ホール(大崎ニューシティ内)
パネラー 秋岡美帆(出品作家)・小山穂太郎(出品作家)・建畠哲(多摩美術大学教授・美術評論家)・天野一夫(司会・O美術館学芸員)

■ワークショップ
「新型“幻灯機”を作ろう」
日時 1998年12月5日(土)14時~16時
会場 O美術館館内
講師 森田多恵「のぞくと二つの色彩が混ざりあう箱を作ろう」

日時 1998年12月6日(日)14時~16時
会場 O美術館館内
講師 小河朋司

「写真で揺れる絵を作ろう」
日時 1998年12月13日(日)14時~16時
会場 O美術館館内および野外
講師 秋岡美帆

■ギャラリートーク 
作家によるギャラリートーク
日時
1998年11月23日(月・祝)14時~16時 市川美幸
1998年11月28日(土)14時~16時 小山穂太郎
1998年11月29日(日)14時~16時 徳永雅之
1998年12月19日(土)14時~16時 伊庭靖子
1998年12月20日(日)14時~16時 中野西敏弘

■学芸員によるギャラリートーク
日時 1998年11月21日(土)・22日(日)・12月23日(水・祝)

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