企画展

企画展

1996年2月2日(金) 〜 1996年3月3日(日)

ひとがた・カラクリ・ロボット展—ひとはひとをどのようにあらわそうとしたのか—

全室

  • 終了

1996年2月2日(金)~3月3日(日)
10時~18時30分 木曜休館

一般500(400)円
高・大生300(200)円
小・中生100円(50)円 ※( )内は20名以上の団体料金

幕末・明治の生人形、近代における人形芸術の確立、マネキンにおけるイメージの変遷、人形ロボットなど約40数点を多角的に展示し、”ひとがた”にまつわる本質的な創造欲について考える。

概要

人形は、通常の美術の中では、立体でありながら、彫刻とは異なり、工芸の一つとして考えられています。

しかし人形は単に置物として存在するばかりでなく、見世物のような場から日常のより密接な関係まで、ある特有の雰囲気と精神性がそこには存在していました。日本の近代美術は、そのような作り物から西洋的な造形である彫刻として脱皮してゆく過程と考えられ、人形は「工芸」といういわば美術の中では傍流の位置で扱われてきたのです。

人形は「工芸」と認められながらも、そこでは近代以前に庶民の中で息づいてきた人形にまつわる独特の心持ちは、次第に押さえ込まれ、隠蔽されていったといえましょう。

しかしながらこのようないわば“漂泊”された人形の「工芸化」の一方で、そのような前近代的な人形特有の濃密な民族的な感情は、いまなお様々のかたちで変質しつつもわれわれのなかで生きているように思われます。  

生人形・菊人形のような風流ものの伝統の中で写実的な見世物が特に明治期において耳目を集めました。なかでも生人形で著名な松本喜三郎はその関節の表現にみるように一方では一つの機巧という技術の点でも完成したものを見せています。

その後、生人形は昭和初期までマネキンなどにも応用されました。
そのような見世物としての生き人形の流れの中から、伝統の人形づくりの体力を生かしながら芸術的に昇華したものとして、平田郷陽という近代における人形芸術の確立者が出ています。  

また「ロボット」が昭和初期において早くも一種のブームがおこり、広範囲に庶民文化のなかに溶け込みました。それは、明るい近未来像を先取りするかのような新奇なからくり人形とおもわれていたことでしょう。

そして人形芸術運動は、ロボットがさらにはマネキンが、人形として見られていた混沌とした時代から、それぞれの道をたどっていったことと軌を一にしていたのです。

今日、日本は有数のロボット工学の国となっていますが、他の国々に比べ、人形ロボットへの研究の多さには、ある特有の情熱が感じられ、最先端の科学にも前近代からの感性が今もいきづいているようです。  

子供の玩具としての各種人形や、マネキン人形、またはアニメーション他にみるロボットなどのキャラクターイメージから、現代ではさらに人工生命としてコンピュータのなかで生きる仮想のひとがたまで、このような“ひとがた”は、姿を変えながらも我々の生活にまさに本質的な存在として根付いているのです。  

本展は、われわれの身近に生きながら、これまで近代のなかで等閑視してきたこのような様々の“ひとがた”を、幕末・明治の生き人形から、近代における人形芸術が確立するまでを、またその後のマネキンにおけるイメージの変遷、そしてさらにはからくりの伝統をもつ我が国での今日的な展開としての人形ロボットなど今日的な身体感のゆくえを、約40数点で多角的に展示する事によって、積極的な身体表現の展開を見定める事で、我々に存在する“ひとがた”にまつわるある本質的な創造欲について考えてみようとするものです。

関連企画

■シンポジウム
「人形・ロボットの欲望」
日時 1996年2月24日(土)14時~16時
会場 日精ホール(大崎ニューシティ内)
パネラー 立川昭二・四谷シモン・増渕宗一

■からくり実演
「萬屋仁兵衛」
日時 1996年2月10日(土)・11日(日) 11時、14時、16時
会場 O美術館 館内

■ナム・ジュン・パイク実演
日時 期間中毎日 10時30分、12時、13時、15時、17時、18時
会場 O美術館 館内

■館外展示 
鳥光桃代、宮田二郎
日時 1996年2月17日(土)・24日(土)・3月2日(土)3日(日)、他 14時から(24日のみ16時から)
会場 大崎ニューシティ3階 オーパティオ

協賛

ART知能映像通信研究所、日本シリコングラフィックス株式会社、伊藤忠テクノサイエンス株式会社、コンパック株式会社、スリーコムジャパン株式会社、株式会社ソニーミュージックエンタテインメント

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