企画展

企画展

1990年1月13日(土) 〜 1990年2月14日(水)

田淵安一展 —輝くイマージュ—

全室

  • 終了

1990年1月13日(土)~2月14日(水)
前期 1月13日(土)~31日(水)
後期 2月2日(金)~14日(水)
10時~18時30分 木曜休館

一般500(400)円
高・大生300(200)円
小・中生100円(50)円 ※( )内は20名以上の団体料金

田淵安一の東京での初の大規模な展観。 日本絵画史上の一つの到達点といえる「大樹」シリーズ以後、最新作までの油彩作品を中心として、初期からの代表作60数点を水彩等10数点と併せ展示。

概要

極めて強い文化意識に支えられた、比類ない絵画イマージュの探究者として著名な、田淵安一の東京での初の大規模な展観。

1921(大正10)年に現・北九州市小倉で生まれた氏は、須田国太郎に学び、敗戦後には東京大学美術史学科に復学するかたわら、猪熊弦一郎の指導を受け、新制作展に出品、金山康喜ら画家達とも交わりました。

1951(昭和26)年、金山らとフランスに渡航、戦後最も早い時期の留学生の一人となりました。以後、現在にいたるまでフランスを本拠として、国際的に活躍していることは周知のとおりです。

その作品は、当初はキュビスム的な具象絵画でしたが、次第にカレル・アペルらの北欧の旧コブラ系の画家たちとの交流もあり、いわゆる「熱い抽象」の傾向に移行しました。

1959年には、水墨画を思わせる単色によるアンフォルメル的な激しい「流動的空間」を見せましたが、日本への一時帰国、タイ・インド等への旅行を経て、その後一転して原色となり、有機的な様々の土俗的な形象が空間に乱舞しだします。

「窓」「鏡」と題されたそれらの連作は複合的で多義的な民族的象徴が充溢するのみならず、異次元の空間が並列され、または、画面は入れ子状となり、全体として統一しつつも錯綜し重層化しています。

その後、「饗宴」「花と火山」を経て、「門」等へとつづくシリーズ群では、さらに形態は逞しく放縦になりますが画面はより構成的で明確なものとなってゆきます。

そして、1977(昭和52)年から始まる「大樹」の連作においては、絵画構造自体が新たな転回を見せ、スペクトルに似た色帯を横に置きつつ、画面全体に統一的なイマージュが支配し、放埒な筆致による宇宙樹の風景が絵画という存在の不可思議さと真実を告げています。

また、「Chinese Dream」では、金箔の地が新たに登場し、底抜けの金地の鏡面と、画面上で反復される東洋的なかたちとの響応関係が見られ、さらに、最新作の「モナドの漂流」は、白地に突然に現出した原色の塊が漂う強いイマージュの画面を見せ、今一度の大きな変化を感じさせます。

ここでは、特に作者のみならず、日本絵画史上の一つの到達点といえる、「大樹」シリーズ以後、最新作までの油彩作品を中心として、初期からの代表作60数点を水彩等10数点と併せ展示することで、田淵のイマージュの軌跡を辿ろうとするものです。

関連企画

■対談 
日時 1990年1月20日(土) 14時~16時
会場 大崎ニューシティ内別会場
出演 田淵安一・粟津則雄(文芸評論家・法政大学教授)

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