企画展

企画展

1992年1月25日(土) 〜 1992年2月26日(水)

書と絵画との熱き時代・1945~1969

全室

  • 終了

1992年1月25日(土)~2月26日(水)
前期 1月25日(土)~2月12日(水) 
後期 2月14日(金)~2月26日(水)
10時~18時30分 木曜休館 一部展示替えあり 

一般500(400)円
高・大生300(200)円
小・中生100円(50)円 ※( )内は20名以上の団体料金

1940~60年代を中心とした墨象等の書の動向を、周辺の国内外の絵画作品を交えつつ代表作120余点を展示し、絵画と書のはざまの創造性とその意味を今一度検証することで、今後の書について考えようとする初の試みです。



概要

敗戦後の書においては、他の日本画・俳句などの伝統的な表現ジャンルと同様、戦前からの前衛的試作の胎動を受け継ぎつつ、根底的な見直しが迫られました。
それは明治期において、書の芸術性について強く問い掛けられて以来の、近代日本における第二の大きな反省期とも言えましょう。

その中で書の作家の中には、時には文字を書くという文字性自体からも逸脱しながら、実際の制作を通じて、あらためて書の本来的な書性が問い直されたのです。

それは当時のアンフォルメル絵画をはじめとした同時代の欧米の美術界の潮流に呼応した動きとも言えますが、偶然のように書と近しいストローク性の強いその新しき絵画に、一部の書家は同じ造形芸術としての共通点を見出し啓発されましたまた、逆に西洋の作家側でも、行為性・自由な線描などの点で東洋の書芸術への希求の動きも同時に存在していたのです。

このような交差した両洋のまなざしのなかで、1960年代まではカリグラフィと言うものが共通の広い関心の対象として美術界に渦巻いていたと言えましょう。それは単に書の世界にとどまらず、当時の洋画・日本画等を含めジャンルを越えて、同一の地平上に交流のあった活発な動きがあったことも意味します。

しかもその中でこの記号でありながら同時に生々しい有機体でもある書というものを扱う彼等書家の側での主義・主張は様々でした。絵画性へと接近し純粋に線と空間の美を追求する試み、しかしそれでもあくまでも文字という場で精神性と一体となって書くべきとする立場。その書と絵画の間において、次第に個々の作家は書の独自性を見出して行こうとしたわけです。

しかしながら、かような書という伝統的なメディアの中での問い直しの試みは活性度を失い、絵画等との交流もなくなり、強い伝統の磁力に引かれるように、次第にかつての書道としての閉鎖的な場へと終息していったことも否めません。

このように日本の近代美術において極めてユニークなものであった1940~60年代の書と絵画の動向は、様々の問題を投げかけていながらも、美術史の一シーンとしてはいまだ等閑に付せられているのが現状です。

この展観においては、1940~60年代を中心としたいわゆる墨象等の書の動向を、周辺の国内外の絵画作品を交えつつ、その代表作120余点を展示し、この絵画と書のはざまの中での創造性とその意味を今一度検証してみることで、われわれの近代を、そして今後の書について考えようとする初の試みです。

関連企画

■シンポジウム
日時 1992年2月15日(土)13時30分~17時30分
会場 大崎ニューシティ内
講師 針生一郎(美術批評)・北沢憲昭(美術批評)
司会 天野一夫

チラシなど

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