演目解説
「翁」(おきな)
能は神様に捧げるものですが、中でも特に神聖なものとされている特別な能が「翁」です。
「翁」はどのカテゴリーにも属さない別格の一曲で、物語を題材にした能とは違い、天下泰平(てんかたいへい)、国土安寧(こくどあんねい)を願う神聖な儀式です。
「翁」が『能にして能にあらず』と言われるのは、新年など祝事に限って上演されることに加え、終始一貫して”祈り”が主題となっているからです。能の原点となった祈りが凝縮されている「翁」は、当時の人々にとって鑑賞する芸能ではなく無事に日々を過ごすための祈祷だったのです。
そして「翁」で使われる能面、その名も翁(おきな)。
能面では珍しい笑顔の面で、深いしわが刻まれた老人が目もと口もとに笑みをたたえていています。他の能面がいろいろな演目に使われるのに対して、翁の面は演目「翁」でしか使われない特別なものです。
上演日には<翁飾り>と称して、鏡の間に簡単な祭壇を設け、面を収めた面箱を飾り、神酒、洗米、塩を供えます。出演者全員が神酒を飲み、米を噛み、塩で身を清め、火打石で切火を受けてから舞台に出ます。
そして神事に奉仕する心で勤める出演者と、神事に参加する心の観客とが一体となって神聖な空間を共にするのです。
(約65分)※慣例で上演中の入退場はできません。
半能「高砂」(たかさご)
遠く離れていても、月年を経ても、変わることのない夫婦の愛の象徴ともいえる「相生の松(あいおいのまつ)」や後場の神の祝福の舞など、一貫して明るく格調高く、大変おめでたい演目です。
肥後国・阿蘇の宮の神主、友成が都見物の途中、播磨国・高砂に立ち寄り海を眺めていると、箏を手にした老人夫婦がやってきて、友成に「高砂」と「摂津国・吉住」の松をあわせた「相生の松」の謂れを語ります。そして自分たちこそ高砂と吉住の神であることを明かし、”吉住で待つ”と言い残して小舟に乗って沖に消えていきます。
友成が老人を追って吉住に着くと、月光の満ちる浜辺に吉住明神が現れ、颯爽と神舞を舞うのでした。
天下泰平、国土安寧の祝意の込められた能を代表する演目として広く親しまれている一曲。
今回は半能の形で吉住に着く後半の場面の上演です。
(約20分)
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