「曖昧なる境界―映像としてのアート」展

会期 1998年11月20日(金)―12月23日(水・祝)

シンポジウム
「現代における“映像”表現について」
日時:12月12日(土)13:30〜16:00
会場:日精ホール(大崎ニューシティ内)
パネラー:秋岡美帆(出品作家)・小山穂太郎(出品作家)・建畠哲(多摩美術大学教授・美術評論家)・天野一夫(司会・O美術館学芸員)

ワークショップ
「新型“幻灯機”を作ろう」
日時:12月5日(土)14:00〜16:00
会場:O美術館館内
講師:森田多恵「のぞくと二つの色彩が混ざりあう箱を作ろう」
日時:12月6日(日)14:00〜16:00
会場:O美術館館内
講師:小河朋司

「写真で揺れる絵を作ろう」
日時:12月13日(日)14:00〜16:00
会場:O美術館館内および野外
講師:秋岡美帆

ギャラリートーク 
開催時間はそれぞれ14:00〜16:00
作家によるギャラリートーク
11月23日(月・祝)市川美幸
11月28日(土)小山穂太郎
11月29日(日)徳永雅之
12月19日(土)伊庭靖子
12月20日(日)中野西敏弘
学芸員によるギャラリートーク
11月21日(土)・22日(日)・12月23日(水・祝)

主催・会場 (財)品川文化振興事業団 O美術館

コンピュータ・グラフィックスを始めとした、現代の我々を取り囲むデジタル的な映像は、ますます高度にリアルなものになろうとしています。その様な精緻を極める仮想世界に対して、現実のモノの物質感は逆に薄らぎ、時にむしろ浮遊したもののように感じられます。そのように様々のイリュージョンとともに暮らし、そのままにしては我々はすでに現実そのものに切実なリアリティをもって向き合えなくなっているなかで、作家はあらためて視覚じたいを問おうとしています。  近年、現代の絵画・写真・インスタレーション等に曖昧な影像的な表現とも言うべき作品が目立ってきています。カメラのピンボケやブレを逆に利用した映像を用いた絵画作品や、映像的な動的シーンを想起させる不明瞭な絵。または上映後に存在の痕跡を示すように茫洋と光を放つ蓄光塗料の塗られたスクリーン。さらには箱の中を覗くと現実の物が重なりダブルイメージ的に見える作品など。ここに展観される多様な作品は、いずれも流動的で曖昧なイメージを見せながらも、鮮烈な印象をわれわれに与えてくれます。  現実と非現実の境界で漂う、曖昧で透明な映像が映るそれらの作品は微細に我々の感覚に働きかけ、知覚の揺れを我々に与えるものとなっています。カメラアイを通して、または何らかの装置を通して覗き、現実の物を素材にしながらも、むしろわれわれの見知った世界は解体し、いわばもう一つの世界をかいま見せるものです。それは光、あるいは時の深い意味を考えることでもあり、その中で世界はあらためて初々しいものとして我々の前に立ち現れてきます。そのような出現的な作品は、感覚の確からしさよりは、曖昧でしかも透明なビジョンを示し、われわれはその刹那的な現実の影の中にこそ、逆に切実なリアリティを感じるのです。  この展観は、8名の作家の絵画を始めとして、インスタレーションも含めた多彩な立体的な展示を通して、そのような映像の一般化した現代の状況の中で、影像的に生きようとすることで、感覚の覚醒をうながそうとする、現代の美術作品の一つの動向に注目しようとする試みです。

 

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