入場無料
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O美術館では、品川区民芸術祭2019の企画展として、1937年東京府品川区大井山中町生まれの世界的銅版画家中林忠良の画業60年余にわたる作品世界を紹介する展覧会を開催いたします。中林忠良は東京藝術大学絵画科油画専攻在学中の1960年に集中講義で「版画」と出会いました。油絵とは全く異なる版画の世界に魅了されて以来、銅版画の主に腐蝕技法による表現手法を用いて制作研究を重ね、多くの優れた版画作品を発表。母校東京藝術大学をはじめ、日本の美術大学に於ける版画研究、教育普及や多くの後進の指導に幅広く尽力・貢献しています。人間や自然に対しての深い洞察から生まれる詩情溢れるその作品画面は、理知的で文学的な香気に彩られ、作家自身の折々の思念の象徴として、モノクロームの奥深い世界に見る者を誘います。「囚われ」シリーズ全16点の同時公開やモノタイプによるカラー作品8点、未公開最新作を含む約100点の代表作を一堂に展示。その他、腐蝕銅版画の作品成立過程や素材・道具へのこだわり、そこから派生する社会的貢献や教育スタンス、印象派有縁のフランス渡来プレス機やミュージシャンのコーネリアス・小山田圭吾氏との関わリなど人間・中林忠良の存在が持つ多面的な魅力と影響力も併せて展示紹介いたします。
東京藝術大学絵画科油画専攻入学当時の油彩画に始まり版画との運命的な出会い、60余年に及ぶ創作の代表作品約100点を時間軸に沿って展示する。会場はテーマごとに8つのゾーンに分類。中林忠良の創作表現の変遷を辿る展示内容となっている。
油画と銅版画 銅版画事始め 岐路を超えて
試行錯誤の連鎖 社会・思念・版との格闘から自己表現へ
浮遊感の払拭 在ることの覚醒 薬剤による疾患と克服
文学と色彩・言葉への傾斜 自然への挨拶
立ち位置への道程 地との対峙 初源への憧憬
黒と白の相克と調和 二律背反の形象化 3.11 自然の前で
光よ、もっと光よ 彼方の水音 風の奏で 再び腐蝕への階(きざはし)
反省と見直し 素材へのまなざし アニミズム 継承と発展
10月26日(土)14:00~15:30
中林忠良による作品解説
11月1日(金)18:30~20:00
中林忠良と李美那氏(東京藝術大学大学院准教授)によるクロストーク
「腐蝕の内と外:制作の契機を聞く」
李美那氏プロフィール
1966年東京生まれ。静岡県立美術館、神奈川県立近代美術館の学芸員を経て、現在は東京藝術大学大学院グローバル・アート・プラクティス専攻准教授
1937年 | 東京府品川区大井山中町に生まれる |
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1959年 | 東京藝術大学美術学部絵画科油絵専攻入学 |
1963年 | 東京藝術大学卒業、東京藝術大学大学院美術研究科版画専攻に入学 |
1965年 | 東京藝術大学大学院修了 |
1973年 | 第四回版画グランプリ展でグランプリ受賞 |
1975年 | 文部省派遣在外研究員としてパリ国立美術学校、ハンブルグ造形芸術大学で研修(~76年) |
1986年 | ソウル国際版画ビエンナーレ国際大賞受賞 |
1989年 | 東京藝術大学教授就任 |
2003年 | 紫綬褒章を受章 |
2014年 | 瑞宝中綬章を受章 |
現在 | 東京藝術大学名誉教授、大阪芸術大学客員教授、京都造形芸術大学客員教授、日本美術家連盟常任理事、日本版画協会理事 |
品川区大崎1-6-2 大崎ニューシティ2F
TEL. 03-3495-4040
10:00~18:30(入場は18:15まで) ※初日のみ13:00~